⚛ 窓を開けてあげると、ヴィーはわたくしをもう一度だけしっかりと見つめた。
8ダンスに誘ってきた人たちはお姉様に気があるんだと思うの！ なんて力説するのよ。
俺もそういうものだと聞いたことがある」 「ヴィーってやっぱり物知りなのね。
✋ ゲホゴホガハッっと盛大に咽せまくって、小さな体が苦しそうに揺れる。 独り言に近いような言葉だった。 恥ずかしいからヴィオル様には言わないでね」 黒猫ちゃんのお鼻を指でツンとつついて、「もうちょっとだから食べてしまって頂戴ね」とわたくしは残り少ないタルトの部分を差し出す。
6けれどもそのお耳はしっかりとわたくしの方を向いていて、ちゃんと聞こうとしてくれているのが分かった。
「苦手なダンスを練習してまでセレン嬢にダンスを申し込んだんだ。
✍ わたくしもホッと胸をなで下ろす。
4そこで振り返って、ヴィーは小さな声でわたくしに訴える。 立ち上がったせいでさっきよりもヴィーの黒い瞳が間近にあって、ああ、やっぱり綺麗な瞳だと感じた。
でもそうなのかは本当に分からなくて……」 じっと見上げる黒い艶やかな瞳に問いかける。
🤗 おかしいでしょう？」 言った途端、ヴィーがブホッと咽せた。 だってダンスの時に見上げたヴィオル様の瞳の色に、本当にそっくりなんですもの。
11そんなには真実から外れていないと思っていたのだけれど」 「お……主は？」 「え？」 「主はなぜ申し込んだと思ったんだ？」 ヴィーの大きくて真っ黒な瞳がわたくしをまっすぐに見つめていて、なぜか照れてしまう。 （2021年03月01日 18時55分現在） 通常、ご注文翌日～2日後に出荷されます。
ダンスを申し込むだけでも勇気が要るんだって……その気持ちは分かって欲しいって言うの。
✌ この本に携わってくださった方々のおかげで大変素敵な本に仕上がっておりますので、楽しんでいただけると嬉しいです！.。 わたくしはテーブルを軽く拭きながら、ヴィーに詫びた。
3「それが一番分からないの」 わたくしは自分の気持ちを落ち着かせようと、ヴィーの頭から首のあたりまでをゆっくりと撫でながら言った。 「きっと責任感が強い方だから、わたくしが魔術をちゃんと使えているかの確認だと思う、とマリエッタには言ったのよ。
猫ちゃんも咽せたりするのね」 「俺も初めて知った」 「本当にもう大丈夫？ お水でもどう？」 「いや、やめておく。
✔ 【全201ページ】. 出会うはずのない二人がとある夜会で遭遇した時、スカーレットの処刑に関する、現在まで続く物語が動き出す。 妹御はダンスに誘う輩にそれなりの敬意を持っているわけだ」 「とても真摯だと思うわ。 「ああ驚いた。
10「ごめんなさいね、わたくしが変なことを言ったばっかりに」 「いや、別にセレン嬢のせいでは……それに、その……妹御が言うことも一般的にはあながち間違いではないだろう。
「た、大変。
😗 そっと背中を撫でていると「ありがとう、もう大丈夫だ」と顔を上げてくれた。
8「ねぇヴィー、あなたはどう思う？ どうしてヴィオル様は、わたくしをダンスに誘ってくださったのかしら」 「さぁな」 そんなつれないことを言いながら立ち上がったヴィーは、目を閉じて珍しくもわたくしの手にスリ、と頬を寄せてくれた。 それが分かったのか、ヴィーも大人しくタルトの残りをはぐはぐと口に入れる。
出版社内容情報 絶世の美女と謳われる妹マリエッタと比較され、『地味姫』と揶揄されて育った公爵家の長女セレン。
👎 わたくしも知識としては知っていたのだけれど……今まで誘われたことがなかったものだから自分ごとだとは思えなくて、実はマリエッタに叱られたの」 「妹御にか。 【このレビューはネタバレを含みます】 『ざまぁされるヒロインを主役にした物語』とはこう言うものだろうか、と思えるほどご都合主義にあふれた作品です。
5「ヴィー、ヴィー、大丈夫？ どうしたらいいのかしら、人を呼んだ方がいい？」 「だい……じょうぶ、だ……」 わたくしの腕にたし！ と前足をおいてヴィーが立ち上がりかけたわたくしの動きをおさえる。
しかし『ざまぁヒロイン』の被害者・王太子には、彼を救ってくれる『真のヒロイン』は現れません。